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煌々と輝きを放つ青白い光はその光を弱める事も動く事もない、ただそこに存在し不気味さを一層に演出していた。俺は光から目をそらす事すら出来ないまま、問題の家に近寄ろうと進行の妨げとなるガーデンフェンスに触れた。
瞬間、指に鋭い痛みが走った。反射的にフェンスから手を離し、痛みを放つ指を見れば血が流れている。
トゲが刺さった訳ではない、かといってこの血の量は少しだけ切ったとはいえない。まるでナイフを使ったかのように皮膚が切れていた。
傷はそこまで深くはなかったようで指が落ちる事も骨が見える事もない。しかし、天使降臨にすっかり怯えた俺をさらに恐怖の底へと突き落とすには十分だった。
犯人を捜そうと辺りを見るが、声も人影も気配すらない。家の中の青白い発光体は消える事もなく今もなおそこに存在している《﹅﹅﹅﹅﹅﹅》。
不意に背後から荒い息遣いと唸り声が聞こえた。
反射的にナイフを構えたが、そこにあったのは家の中と全く同じ青白い光が二つ。それはこちらを見定めるかのように忙しなく動き――……。
「やっぱり夜に来るもんじゃねぇな!」
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