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「それで? ビビッて逃げて来たってのか?」
翌朝。俺の店に遊びに来ていたアンヘルが笑いながら俺が作った飯を勝手に食べている。アンヘルの盗み食いに関してもはや気にすることもないのだが、それでも「うるせぇ」と言わなければ気が済まない。
この北区メインの情報屋は、他の区の情報を俺に寄越す代わりに食料をたかる。一回の情報量と食材を天秤にかけると食材の方がはるかに安い。それに、ジャンクフードしか摂取しないアンヘルと、料理が得意な俺にとってその条件はとても好都合だった。
「確かに青白い光は見えた。幾つもな。それと動いている光もある」
「じゃあ、情報屋として改めて依頼を提供しよう」
アンヘルはそう言ってポケットからサイン入りの依頼書を取り出す。
「問題の家の両隣の家族からだ。金はそこそこ。まず前金」
けれど、アンヘルから渡された札束はあまりにも量が少ない。ジロリと睨めば、アンヘルは全く気にしていない様子で朝食に手を付けている。
「家賃代だ。悪く思うな。それで? 二階の同居人と顔は合わせたか?」
「いいや。会ってもねぇし、挨拶もしてねぇ」
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