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そう声をかければ、住人は犬と俺を恐々見比べている。犬を殺した犯人が俺ではないかと疑っているようだ。少し悩んだ結果、俺を信用できると思ったのだろう。ゆっくりと近寄ってくる。
「光が見えるんだよ。だいぶ前から」
住人が話し出す。ずっと誰かに聞いてほしかったのだろう。とても興奮した様子で唾を飛ばしながら話しかけてくる。
「その光は昨晩俺も見た。家主は? 灯りがないと寝付けない坊ちゃんって訳でもないだろ?」
「陰気くさいジジィだよ。元は南区の住人だったみたいけど、やらかしてこっちに飛ばされたらしい」
「やらかして?」
「酒癖」
「ああ。なるほどね」
思わず間抜けな声が出る。富豪の多い南区の人間も中央区にいる浮浪者と同じような事はするのか。と心のどこかで安堵してしまう自分に嫌気がさした。
「それと、どっかの金を盗んだらしい。連れ添いが死んでの保険金だとか。聞いた話だけどね。死んだんじゃなくて殺しただとか。それで噂が立って酒に逃げてここに追いやられたとか」
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