第一部:見知らぬ同居人

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「それであの謎の光で連れ添いを甦らせようって?」  俺の冗談も住人は笑ってはくれなかった。冗談はやめてくれと隈のある顔が語っている。 「あんたの数時間前にも同じような事を聞いてくるヤツがいたよ。銃声が聞こえて、そいつも帰ってこない」 「そいつは役に立てなかったんだろう。代わりに俺が解決してくる。待て。……そいつも《﹅》って事は他に帰ってこない奴がいるのか?」 「家の中に入った警官が帰って来ないんだよ。二日前の事だ。その時もやっぱり銃声が聞こえた。気味が悪くて仕方ないよ」  住人はそう言うと一度身震いし、さっさと家の中へと戻って行った。 「警官の応援は来てくれなかったのか」  恐らくそれは『元南区の人間』というところで一つ噛んでいるのだろう。  南区の人間は「自分達だけが税金を払いそれの成果が出ないのはおかしい」と金にものを言わせて警官を雇い、市役所を作り、高級住宅街南区という小さな国を作り上げてしまった。  もし警官が南区の人間に悪い方面で絡んでしまったら、被害者でも加害者でも『南区の敵』と認知されれば社会的に死ぬだろう。
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