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「待つのはうんざりでね。これ以上、一秒たりとも待てねぇ。俺はかわいそうなお前を追い出すつもりはねえ。二階の撤去で許してやる。二階に住人を入れるんだ」
「おい、待て。シェアハウスなんて聞いてないぞ」
「金を払わないのが悪い。契約は既に決まってんだ」
最低な条件、まるで詐欺だ。「仕事があれば払える」と、舌打ちして呟く俺にアンヘルは嬉しそうに反応を示す。
「そんなお前に朗報だ。仕事を持って来てやった。西区で幽霊騒ぎが起きてる。天使じゃねぇし、高級住宅街南区に近い場所からの依頼だ。金は期待していい」
「俺に幽霊退治させる気か?」
「踏み倒しの無職なクソガキにせっかく話を振ってやってんだぞ? ありがたく受注しろ」
「……。わかったよ。で、その家の主はどんな奴だ?」
「誰も見てない。元は富豪・南区の住人だったっていう噂はある。ごちゃごちゃ言ってねぇで、それを調べるんだよ。もし幽霊騒ぎが本当なら適当に依頼主を見つけて金をせびってくるからよ」
うさんくさい話だったが今の俺に断る力はない。
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