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シーズン1-1【はじまりの話】
-わたしが生まれた時-
わたしは、少し?いや相当?
普通の人とは違う気がする。
それは生まれた時から。
不思議なことに、わたしは 『星のかけら』を
手に握りしめて生まれてきた。
両親はとても驚いたようだが
きっとわたしを守ってくれるものだと思って
ネックレスに加工してくれていた。
わたしもお守りだと信じ
それを肌身離さず身に着けてる。
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-ファンタナの木-
5歳の時にはパパの会社のハイキングイベントに
パパとママと3歳の弟と参加した時に
とても神秘的な体験をした。
会場には同い年ぐらいの男の子と女の子がいて
わたしたちはすぐに打ち解け
仲良く3人でハイキングした。
お昼休憩の広場まで到着すると
おにぎりを一つだけかじって早々に
3人で探検に出かけた。
「遠くへ行っちゃだめよ~」
「は~い」
わたしたちは夢中で遊んでいたら
知らず知らず山の奥の方まで来てしまった。
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たどり着いた場所はとても神秘的な場所で
女の子が
「あっ!あれ見て!
ファンタナの木あったよ!」
と叫んだ
歩道のすぐ横は崖
崖の下には澄んだ緑色の植物が敷き詰められていて、その奥に存在感のある緑豊かな木が1本、光輝いていた。
わたしも『やっと見つけた』と思った。
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「しずくちゃんは待ってて!わたしちょっと見てくる!」
と女の子は張り切って崖を下りようとしたが、
すぐに足を滑らせ、とっさに男の子が手を取った。
「わかった。私がいく!」
やめた方がいいと言った男の子の言葉を振り切って
運動神経には自信があったわたしは、
ひょいひょいとリズムにのって下まで降りて行った。
少し調子に乗っていたせいか
次の瞬間足を滑らせ
そのまま落下してしまった。
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意識を失っていたのか
頬をなめられた感触で目を覚まし
うっすら目を開けてみると
『まっていたよ』という声とともに
白い犬、白い鹿、白いうさぎ・・・
他にも白い動物たちがたくさん見えたのを覚えている。
そこから記憶は途絶え、次に気が付いたのは
2日後の病院だった。
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ー12年後ー
あれから12年、わたしは今、高校2年生になった。
あの時わたしは、白い犬に助けられたらしい。
すり傷はあったものの命には別条はなく、
意識が戻るとすぐに退院できた。
それ以来その犬は我が家の一員。
”ポチ”と名付けた。
とはいっても、その犬は家族には見えない。
何故かわたしにしか見えない。
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そして何より、”ポチ” は
わたしの部屋にいるときは男性の姿になった。
それが意外とイケメン。
銀色の長い髪に着物の様な装いをしている。
でも特長のあるしゃべり方と
厳しい性格から
わたしはお爺ちゃんだと思ってる。
”ポチ” が犬ではなく狼だということに気づいたのは
小学校高学年になってからのことだった。
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他にもわたしは、生まれつき
動物や植物と会話をすることができた。
やっぱり相当変わってるよね?
わたしはただ、その不思議な状況を
なんの抵抗もないく、すんなり受け入れていた。
なんで普通の人とは違うのか、考えたこともなかった。
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そして、
わたしはこれから忘れていた記憶を思いだし
愛する人々と再会する。
あの時の自分の罪を償う為に・・・
でも、私はまだその事に全く気付いていなかった。
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