禁区のオンモラキ

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  やっぱり・・・・・  ハナさんは呟いた。 「ん?」 「マルさん・・・鬼沼津村にまつわる不可解な事がそれなんです。あの村では写真を撮ることが出来ないんですよ」 「ええ!?」 「三十年前に住民はゼロになり、あそこはもう廃村です。マルさんがいた時分はまだ数世帯が住んでました。調べたところ、奇妙な現象が起きてたらしいんです。それは・・・」  ハナさんは言い淀んだ。私は嫌な予感がしつつも促した。 「それは?」 「村内でシャッターを切っても、真っ黒な写真しか撮れないんです。ある廃村マニアの方も村の風景をデジカメで撮ったんですが、プリントアウトしたら真っ黒だったと」 「・・・・・」  あんこマカロンが逆流しそうになった。 「それは一体どういうことなんでしょうか?」 「やはり超常現象的な作用があるのかもしれません」 「うう、それって心霊的な?」 「そうですね。でもマルさんも含め、元住民の人達には特別何かが起こった訳ではないでしょう?写真以外で」 「ええ」 「マルさん、あとちょっとで鬼沼津村に着きます」  
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