禁区のオンモラキ

5/8
前へ
/8ページ
次へ
 寺は、ザ・廃寺といったふうで、風雨になぶられ放題で今にも崩れそうな勢いだった。  木の扉は外れ、屋根は穴だらけのせいで日が差し込み、中の様子を外から見ることができた。  廃寺の中を凝視すると・・・・・ 「!!!」  二人は絶句した。台座の上の仏像の、首が無くなっていた。劣化でもげたのかもしれないが、近くにそれらしきものは見当たらない。  鳥がまた、嫌な声で鳴いた。 「マルさん、もうここから離れましょう!」  そういうなり、ハナさんは私の腕を掴み、車へと駆け出した。 何がなんだか分からないまま車の中に転がみ込み、猛スピードで村を後にした。 「ハ、ハナさん、どうしたんです?」  ハンドルを力強く握ったまま、ハナさんは申し訳けなさそうに口を開いた。 「マルさん、もうすぐ国道に出ます。そこにファミレスがあるんでそこでお話します」  ぎこちない空気が流れていたので、ファミレスの看板が見えたときは、いろんな意味でホッとした。  店内に入り席に落ち着いたところで、ハナさんが頭を下げた。 「ごめんなさい!私・・・マルさんに言ってないことがあるんです」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加