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寺は、ザ・廃寺といったふうで、風雨になぶられ放題で今にも崩れそうな勢いだった。
木の扉は外れ、屋根は穴だらけのせいで日が差し込み、中の様子を外から見ることができた。
廃寺の中を凝視すると・・・・・
「!!!」
二人は絶句した。台座の上の仏像の、首が無くなっていた。劣化でもげたのかもしれないが、近くにそれらしきものは見当たらない。
鳥がまた、嫌な声で鳴いた。
「マルさん、もうここから離れましょう!」
そういうなり、ハナさんは私の腕を掴み、車へと駆け出した。
何がなんだか分からないまま車の中に転がみ込み、猛スピードで村を後にした。
「ハ、ハナさん、どうしたんです?」
ハンドルを力強く握ったまま、ハナさんは申し訳けなさそうに口を開いた。
「マルさん、もうすぐ国道に出ます。そこにファミレスがあるんでそこでお話します」
ぎこちない空気が流れていたので、ファミレスの看板が見えたときは、いろんな意味でホッとした。
店内に入り席に落ち着いたところで、ハナさんが頭を下げた。
「ごめんなさい!私・・・マルさんに言ってないことがあるんです」
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