禁区のオンモラキ

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 読み終えて顔を上げると、ハナさんは申し訳なさそうに顔を伏せた。 「マルさんが鬼沼津村の出身と知って、村に行くことができると思ったんです。兄はそのせいで亡くなったのに不謹慎にも好奇心は抑えられなくて・・・。ライターゆえの性かもしれません。事前にお話ししとくべきでした。すいません。」  ハナさんはまた頭を下げたので、私は両手をぶんぶんと振った。 「そんな、気になさらないでください。自分が人柱に選ばれる運命にあった村の末裔って知ったのはビミョウな気持ちですけど、自分、元気に食欲モリモリで生きてますし。でも、お兄さんの死因が村を訪れたことによるものなんて、信じがたい話ですよね・・・。」  「世間は信じないでしょうね。私はオカルト寄りのライターをしてるので受け入れられる感じです。何より・・・」  言いながら、バッグからスマホを取り出し、机の上に置いて指をなぞらせた。 「さっき村で撮った動画です。」  私は口に手を当てた。 「真っ黒けじゃないですか!」 「こうなるのは予想してました。しかし、それだけじゃないんです。廃寺の仏像に首がなかったでしょう?肉眼では視えなかったけどスマホのレンズを通したら、そこに苦悶の鬼の顔がのっかってたんです」 「はわわわわわ!私たちお祓いに行ったほうがいいんじゃ」
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