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逆ハーダイジェストのOK版
「なんだこの魔窟は……。
人間が住んでいたとは思えない部屋
だぞ……」
これは引っ越し作業を手伝いに来た、
三男で潔癖症眼鏡男子のアサギが
逸花の部屋をはじめて訪れた時の
第一声である。
ごくごく一般的な女子部屋である逸花の部屋をもってしても、
アサギのお眼鏡には叶わなかったらしい。
「ごめんねー、逸花ちゃん。
あっくん、ちょっと潔癖入っててー」
ショックを受けて白目を剥いている逸花に
すかさずフォローを入れるのは、
コミュニケーション強者の末っ子・カオルだ。
「これは徹底的に除菌して回らないとダメだな……」
と眼鏡を光らせ、
恐ろしいことをのたまう三男のアサギ。
こうして潔癖症で完璧主義者なアサギの指揮の下、
すべての持ち物を除菌する羽目になった
逸花たち。
地獄の荷造り作業が
今、始まる。
作業中、
様々なハプニングが彼らを襲った。
「うわっ、わりい!
本落とした……って、なんだこの本……?」
鬼教官な次男・チハルが、
逸花秘蔵のBL本を
うっかり床にぶちまけ、
男同士のアッー!なシーンがかかれたページの数々を、
イケメンたちの足元でご開帳してしまったり。
「……この服はないね。捨てていい?」
すきあらば
気にくわない服をどんどん捨てようとする、
魅惑のイケメン長男・ジュンと、
「それなら俺も。
このカーテンと寝具の色はないな。
これも一緒に捨てよう」
それに便乗してインテリアグッズを
あれこれ捨てようとする三男・アサギ。
「ちょっとちょっと!
二人ともボンボコ捨ててるけどさー。
思い入れのあるものかもしれないんだし、
ちゃんと本人の許可とってからにしてよー」
そんな容赦ない二人を全力で止めているのは
末っ子でコミュニケーション強者のカオルだ。
そんな感じで慌ただしく荷造りをし、
荷ほどきを終えて
引っ越しが完了したのは深夜である。
前日の引っ越し作業だけで
恐ろしいほどの心労に見舞われた逸花は、
この先やっていけるのか、
一抹の不安を覚えるのだった。
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