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彼とは、名前順が私の次の向後颯太君。彼はフレンドリーで友達もすぐに沢山できていた。みんなからは下の名前で呼ばれていた。
颯太君への気持ちがあるなか、颯太君と話すのは緊張する。でもとても楽しかった。
最初は名前も呼べず、ただプリントを回したりするだけだった。
そんな日々が続いて、入学から1ヶ月がたった。
やっと学校にも慣れてきて、毎日制服を着ることや、通学路が小学校と違うことを普通に感じてきた。部活は色々な部に体験に行き、私はバスケットボール部に、颯太君は陸上部に所属した。
5月12日、今日はクラスで遠足だ。みんなの仲を深めるためにピクニックへ。男女7人ずつに分かれた。私は1班で、颯太君は3班で別れてしまった。颯太君たちの班がお昼ご飯を広げて食べているのをチラチラ見ながら、私もお昼ご飯を食べていた。すると、颯太君が後ろを振り向いた。目が合ってしまった。やばいと思い、すぐに目をそらすも動揺して、同じ班の人たちの会話が全く入ってこない。遠足から家に帰ってくるまでなんだかずっと気を張っていた気がした。
私はこの気持ちを自分1人で対処しきれなくなっていた。好きってなんだろう。恋ってなんだろう。入学してからずっと一緒にいる、あかりに打ち明けることにした。いつのまにかお互いをはるか、あかりと呼び合うくらいに仲良くなっていた。
理科の実験室に移動している時に、
「実はさ、颯太君のこと気になるんだよね。でも連絡先知らないから何も出来なくて。」
すると、あかりはびっくりしていた。目を丸くしながら、
「そうなんだ。まず、授業中とかに少し話しかけてみたら?数学の解き方聞いてみたり。」
と、アドバイスをしてくれた。
次は数学の時間。勇気を出して質問してみた。もちろん、下の名前で呼べるのは、心の中とあかりに話すときだけ。
「向後君、ここの解き方教えてほしい。」
すると、
「颯太でいいよ。(2)?あ、うん。」
といって、教えてくれた。
私は、「颯太でいい?」やばい、心臓が、破裂しそう、ドキドキが止まらない。こんな感じで数学の解き方をまともに理解できなかった。それに、目を見れない。目を見てありがとうと言いたいのに。
「あ、颯太ありがとう。」
目は見れなかった。
しばらくして、颯太が隣の席の男の子と話している声が聞こえた。
「おい、この前好きって言ってた莉子ちゃんとどうなったんだよ。」と、隣の男の子。
「ばか、声がでけえ。連絡先は交換して、ちょっとだけ会話してる。」
と、颯太。
「やるやん。」
待って、莉子ちゃんて誰?好きな人?
そう、颯太には好きな人がいた。
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