みんなのベクトルが絡み過ぎな件

4/7
1152人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
 マスターにオーダーを通すと、何か少し考えているようだった。 「旬。バットに氷出して。出したら、塩を一掴み氷に振りかけておいて」 「はい。 分かりました」  一体、ナニを作るんだろ。  疑問に思いながらも、言われたとおり用意する。 「ワインを寝かせて置いて、クルクル回してくれるかな? 2分間」 「はい」  キッチンタイマーをセットして、氷の中でクルクル転がす。 「七尾所長は、この赤ワインは少し冷えたのが好きなんだ。 多分、一緒に飲むだろうから。それに今日は、春とは思えないくらいの陽気だったから、森國社長も冷たくて良いと思うんだけど、温度の好み有るか聞いて見て? 常温が良ければ、もう一本出そう」 「分かりました。確認してきます」  カウンターに戻ると、七尾所長が来店していた。  おしぼりを受け取りながら、史花さんと親しげに話している。  七尾所長は、マスターとも知り合いなんだよな。  なんとなく、敵対心。  この人は、オレと同じ匂いがする。  普段はそっけないんだけど、ほんの時々、マスターに柔らかい視線を送るんだよね。  もしかして、マスターに気がある?  そんなヒマがあったら、森國社長とくっ付けよ!  森國社長が、七尾所長に想いを寄せているのは、誰がみても明らかだろ‼︎  森國社長は、絶対、ゲイかバイだと思う。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!