みんなのベクトルが絡み過ぎな件

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「失礼いたします。森國様。 赤ワインの温度のお好みは御座いますか? コレッツィオーネ チンクアンタは、冷やしても美味しく頂けるので、冷たいものもご用意出来ますが」 「そうなんだ。 春日(はるひ)さん、コレ好きですよね? どうします? 」 「なに? 森國の奢り? 俺は、コレ冷たいのが好きなんだ」 「じゃ、冷たいので宜しく」 「では、冷やしたものをお持ちいたします。少しお待ち下さいませ」  なるほど。森國社長は、好きな人の(この)みのモノで、気持ちアピール作戦か……  雨野さん(マスター)は、何が好きなんだろ?  冷やしたチンクアンタを提供した後、マスターのところへ行く。 「マスター。流石です。冷やした方で注文入りました!」 「うん。良かった」  オレも、褒め作戦と同時進行で、好きなものリサーチだ。 「マスターもこのワイン好きなんですか?」 「うん。好きだよ。僕はお酒全般何でも好き。仕事中は、勧められても飲まないけどね」  うーん。特別って訳では無いみたいだ。  好みを探るって結構難しいな。 「マスターって、好きなもの何ですか?」 「え? 僕? 基本的に好き嫌いないよ」 「でも、何かあるでしょ?」 「そうだなぁー。 強いて言うなら、よもぎアレルギー」  ガクっ。  好きなものじゃなくて、苦手なもの情報かよ。 「さっ。あがったよ。 喋ってないで、持って行ってー」
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