みんなのベクトルが絡み過ぎな件

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 カランカラーン。  ドアに付いたカウベルが、お客様の来店を報せる。  史花さんの旦那さんだ。  カウンターに、七尾所長を見つけて、一直線に向かって来る。  この人も、不思議な人だ。  妻子持ちなのに、七尾所長に向ける笑顔がとろけそうなんだよなぁ。  解せない。  そしてこの店なんなの?  イケメン率が高すぎる!  向かって左から、  森國社長は、インテリイケメン、  七尾所長は、線の細い中性イケメン、  樹さんは、オレ様イケメン、  振り返ると、マスターは混血モデルイケメン。  なにこれ。  オレも、たまには爽やかイケメン言われるけど、ここじゃ全然勝ち目が無い。  ホントなにこれ。 「春日。お疲れ。久々だな」 「あぁ。(いつき)。お疲れ様。珍しいな」 「今日は近くで商談が有ったんだ。 旬くん、いつも史花が世話になってる。 ありがとうな。 とりあえず、ビールで」 「いらっしゃいませ。こちらこそ、史花さんにはいつも助けて貰ってばかりです。ビールお持ちしますね」  ビールのグラスを取ろうと振り返ると、マスターが既にビールを運んで来ていた。 「樹さん。ようこそ。先日は有難うございました。コレは僕からのお礼です」  冷えたビールと、チーズとナッツのセットを置いた。 「おっ。ありがとう。遠慮なく頂くよ」 「今日はゆっくり出来るんですよね? 僕がご馳走しますから、沢山召し上がって下さいね」 「そんな、気を遣わなくていいのに。 でも、アキとは好みが合うからな。色々と(笑)。勝者のお言葉に甘える事にするか」  うーん。ここの関係も分からない。  仲が良いのか悪いのか?  史花さんを迎えに来た時にも2人は話すけど、なーんか独特の雰囲気なんだよね。  いつもは、座らないで帰るし。  今日は、ゆっくりしていくらしいから、ソコも要観察だ。
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