カクテル言葉に翻弄される件

6/8
1152人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
「ご馳走さま。今日はこれで帰るよ。」 「森國様、今日はご馳走さまでした。ロングカクテルの勉強にお付き合い頂きありがとうございました。まずは、ジントニックを作れるように頑張ります!」 「それは嬉しいな。今度は休日の前の日に、ショートも飲んでみる? 」 「あ、本当ですか? 勉強させて貰えるのは有り難いです。」 「では、いってらっしゃいませ。」 ameno(アメーノ)では、お客様をお見送りする時、「いってらっしゃい」と送り出す。 この店で癒されて、また、日常の戦場に戻っていく、そして、疲れたら、またここに戻っておいでという気持ちを込めて。 カウンターに戻ると、七尾所長がニヤニヤして話しかけてきた。 「今日飲んだカクテルはどんなのだった? 」 「はい。全部ロングで、バレンシア、ジントニック、ブルドック、です。」 「へぇー。森國もなかなかやるな。」 「はい。お酒強いですよね? 全然酔った感じがしない。」 「そぉ? 森國は、別のものに酔ってると思うけど(笑)。」 「え? ブルスケッタって、お酒入ってます? 」 「いや。そうじゃないよ。旬君はさ、カクテル言葉って知ってる? 」 「いえ。初めて聞きました。」 「ん。カクテルには、花言葉みたいに、カクテル言葉っていうものがあるんだ。」 「本とか、売ってるのかな? 」 「もちろん。マスターが持ってるから、見せてもらうと良い。今日のカクテルの意味知りたい? 」 「あ、はい。 知りたいです。」
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!