カクテル言葉に翻弄される件

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「まず、バレンシアは、気になっている相手に贈るんだ。『好きになりつつ有りますよ』って。」 「えっ、そうなんですか」 「つぎは、ジントニック、 『強い意志』や『いつも希望を捨てないあなたへ』という意味が込められている。尊敬する人や、頑張ってる人を応援する時に贈るかな。」 なんだか、恥ずかしくなって来た、 「最後は、ブルドック、『あなたを守りたい』」 なんだこれは、盛大に口説かれているのは気のせいか? いや、でもこれは、カクテルを覚えるための練習なわけで。 森國社長は、七尾所長が好きなんだから、そんな事は無い… ハズ。。。 「七尾所長は、森國社長と古くからの知り合いなんですよね? 」 「大学からだから、古くも無いけど、ゼミの研究発表で組まされたんだ。それからの付き合いかな。そして、学生時代の友達はアイツくらいなんだ。」 「そうなんですか? 」 「ん。 俺さ、中学の時に、交通事故で家族を一辺に失ったんだ… それから、色々あって人を信用出来なくなって、誰からも距離を置いてた。相当、偏屈な奴だったと思うんだ。だけど、森國だけは、いつもナチュラルに懐いてくるんだ、、、アイツ、真面目で誠実な、裏表の無い優しい奴なんだよ。」 「そうなんですね… 」 「そして、テニスやっててさ、あの見た目だろ? 女の子にキャーキャー言われてた。いつも綺麗な子を連れてたよ。そして、彼女が出来る都度何人も紹介されて、その度に『この人が大事な先輩で、君より優先順位は上だから。覚えておいて。』とかいうんだぜ。ホント正直参ったよ。」 「よっぽど好きだったんですね… 」 「そうだと思うよ。 家族や親友には紹介しても、普通ゼミの先輩には紹介しないだろ? 彼女が出来て嬉しくて仕方なかったんじゃないかな。」 そっちかよ! ほんっと、この人天然だな… でもやっぱり、森國社長は、この人が好き。 カクテル言葉は、偶然だな。 きっと、試されたんだ。 カクテルの勉強してるって言ったから、これくらい知ってるだろって。 ちょっと、からかってやろうって思ったんだろうな。 いつか、覚えて逆に攻めてやろう。 楽しみになって来た。
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