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ここ最近は、カクテル作りの特訓をしている。
午後の講義の無い日に、早めに行ってマスターの手解きを受ける。
先ずは、ジントニックを作りたいって言ったら、快諾してくれた。
「ジンにも沢山種類が有るんだけど、ウチで使っているものを説明しておくね。まずは、ゴードン。ジントニックが出来た時代に、使われていたのがこのゴードンだ。ウチでも、ジントニックに使っている。それから、モンキー。これは、ストレートで飲む場合に出している。ジンは冷凍保存が多いけど、コレは常温でオーケー。その方が香りが立って美味いんだ。猿の絵だから覚えやすいだろ? そしてNO.3。これはドライマティーニによく合うんだ。冷凍しておいても芳醇な香りが昇ってくる。ボトルに鍵がついてるのも特徴だ。最後にタンカレー。キレがあって、スッキリしてる。淡麗だから、森國社長のように、辛口好みの人に好まれる。あとは、その時々でいくつか入れてるけど、ウチの基本は4種類。」
「はい。」
大丈夫か?オレ…
ジンを使うカクテルは、全部同じジンを使うと思ってた。
前途多難だな…
でも、タンカレートニックだけは作れるようになりたい!
ユニフォームでない姿は、面接の時以来だな。
鍛えられた身体にVネックが良く似合う。
一瞬、目が釘付けになった。
首にかかったチェーン。
そこに通されているリング。
緩くひねりの入ったシンプルなシルバーリング。
あ!七尾所長と同じものだ。
… … ショック。
どうしてオレは気が付かなかったんだ…
森國社長が忘れようとしている事も、コレが理由じゃないのか…
バカだ…
オレはバカだ…
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