タンカレートニックに涙が入ってしまった件

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「じゃ、この4種類で、ジントニックを作ってみるから、味見してみて。」 「はい。お願いします。」 ちゃんとしなきゃ。 悟られないように。 今日のバイトが終わるまでは、絶対に泣いちゃダメだ。 「ね? モンキーで作ると甘いでしょ? タンカレーだとスッキリ辛口。」 「ホントだ。」 「ははっ。全部飲まなくても良いよ。味見だから。 味の好みは人それぞれで、出来る限りお客様の要望には答えたい。でも、ウチで、モンキーや、NO.3で、ジントニックは出さない。」 「どうしてですか? 」 「値段が全然違うんだ。 モンキーで作ると3倍の価格になる。だから、お客様もそんな酔狂な事は言わない。」 「なるほど。」 「そろそろ5時だ。夜営業の時間だよ。旬はどうする? このまま入ってもいいし、勉強とか有るなら、いつもどおり7時でオーケーだよ。練習の1時間は時給付けとくから。」 「ありがとうございます。このまま入っても良いですか?」 「ありがとう。助かるよ。じゃ、着替えて、外看板出して貰える?」 「はい。分かりました。」 今1人になったら、絶対泣いちゃう。 働いて、なんとか、自分を保たないと。
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