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「森國社長? オレの話を聞いてくれる? 」
「もちろんだよ。何かな? 」
教わったばかりのジントニックを作る。
タンカレーで作る、タンカレートニックだ。
タンカレー好きな人の間では、T&Tって呼ばれてるらしい。
ストレーナーもマドラースプーンも無いから、ザックリだけど、出来るだけ丁寧に作って差し出す。
グラスをカチッと合わせて、ひと口飲む。
まぁまぁの出来だ。
「先週、帰る時に、オレ達のこの関係はなんていうんだろうねって話しましたよね? 」
「そうだったね。」
「あれから、随分考えたんです。でも、答えは出なくて… 」
「うん。」
「それでも、ずっと、考えていたんです。」
「それで? 」
「それが答えなのかなぁって。」
「どういう意味? 」
「オレも、『バレンシア』…って事… かなって。」
「えぇっ?! 良いの? そんな事言っちゃって!僕、良い意味で取っちゃうよ!」
「悪い意味も有るんですか?」
「? 分からないけど… 。」
オレは、そっと顔を寄せて頬に触れるだけのキスをした。
「朔。」
「ちょっ。 ちょっと待った!今日はしない!」
「なんで? 今日は帰さないって言った。」
「それは、1人にしておくのが心配だったからで、、、一晩中失恋話に付き合おうと思ってたんだ。飲みながら。… キスくらいはしたくなっちゃったかもしれないけど… 」
「ホントに? しなくて良いの? 」
「… いや。 … なんていうか。 … ダメだろ。 … こんな… 弱みに付け込むみたいで。」
「オレが、してって言っても? 」
「… やめてよ。 … 揺らぐから。。」
「朔。身体ごと癒して。忘れさせて… んっ。… ぅん。」
途端に、噛み付くようなキスが降って来た。
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