突然の面接に焦った件

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 出来るだけ丁寧な字で名前を書く。  住所、電話、血液型、ん?血液型? 「血液型はね、万が一、店で事故にあった時の為。何型であろうと、採否には関係無いよ」  どうぞ、とレモンスカッシュを置いてくれる。  酸っぱいのを想像して、ストローをさし、恐る恐る口に運ぶ。  何だこれ!超美味い!今まで飲んでたレモンスカッシュはいったい何だったんだ⁈ 「どう? 生レモンで作ると全然違って美味しいでしょ? 」  ニッコリ微笑んでくれた。  この笑顔に悩殺される女子に同情する。  だって、男のオレも悩殺されるもん。  出来上がった書類を渡す。 「どれどれ。」  真剣な表情で、見ている。 「尾上 旬(おのえ しゅん)君。21歳。食品アレルギー無し。B型。趣味はバスケ。既往症も無し。実家暮らし。近くだね。あ、英文科なんだ。英語話せる?」 「少しですね」 「じゃ、それも鍛えていこう」 「あのー。質問いいですか? 」 「勿論。なんでもどうぞ」 「このお店の名前、なんて読むんですか? 」 「あぁ、言ってなかったね。『アメーノ』だよ。 僕は、ここのオーナーの雨野 秋成(あめの あきなり)。ヨーロッパと、東南アジアと、日本の混血だから、こんな感じたけど、国籍は日本人。『アメーノ』は、イタリア語で、『心地いい』って意味。僕の苗字と掛けてるんだ。これから、簡単なイタリア語も覚えようね」 「へぇー。 いい名前ですね」 「僕が? 店が? 」 「どっちもです! 」 「あ、条件言ってなかったね。張り紙のとおり、最初は時給1,500円から。そのうち、ドリンクの作り方覚えてもらうから、スタンダードカクテルもね。それが出来るようになったら、時給2,000円。 その間も、働きぶりを見て、上げていこうと思ってる。 あとは、交通費は別支給で、賄い付き。どう?」 「十分です」 「いつから来れそう?」 「明日からでも」 「よし。じゃあ、3日後の21日から来てもらおうか。最後に、身体の採寸して写真撮ったら今日はお終い」
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