⁂ アルバイトを始めて丸一年経った件

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アパートに帰ってから、久々にスーツに袖を通してみた。 なんだか、着られているみたいだな、と鏡を見て独り言ちる。 インターホンが鳴った。 おそらく、朔だ。 テレビカメラを確認すると、髪を手櫛で整えている朔が写っていた。 いつも、お洒落な朔らしい仕草に思わず微笑む。 「どうぞ。」 ロックを解除してやる。 間も無く、ドアホンが鳴り、玄関ドアを開けてみると、何やら沢山荷物を持った朔が笑顔で佇んでいた。 「お疲れ様。 合鍵渡してるんだから、勝手に入って来れば良いのに。」 「そう? でも、いきなりドアが開いたら怖くない? 来てもらいたくないタイミングも有るかも知れないし… 。」 「怖くないよ。勝手に入って来れるのは朔しか居ないんだから。それに、来てもらいたくないタイミングってどんな? 浮気とか? そんなのないよ。 」 「そっか。 ありがとう。ところでどうしたの? スーツなんか着て。」 「ameno(アメーノ)のパーティーでスーツ着るだろ? それで久々に、着れるかどうか試してみてた。」 「あぁ。マスターから聞いた? その事なんだけど、ちょっとお願いがあるんだ。」 「なに? 改まって。」 「こんな事言うと、また旬に怒られそうなんだけど… 怒らないで聞いてくれる?」 「内容による… 」 オレが怒るようなおかしな事を言うのかと思い、横目で睨んでおく。 「待って。言う前から怒らないでよ。。」 「だー、かー、らー、」 「言う!言う! その日着るスーツは僕にプレゼントさせて欲しいんだ!」 「あ、ホント? 就活用だったから、地味なのかな?って迷ってたんだ。マスターも、森國社長に見たたて貰えって言ってたし。」
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