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amenoに着いてみると、店の前は沢山の花で飾られ、扉には“本日貸切”の看板が掛かっていた。
扉を開けると、七尾所長が出迎えてくれた。
既に大勢の人達が集まっていて、オレは時間を間違ったかと焦ってしまった。
「すいません。遅かったですか? 」
「いや、良いんだ。今日はね、君の大切な門出の日だよ。」
「えっ?」
「さあ、ネクタイを結んであげよう。」
朔は、隣でニコニコして見ている。
「朔? 知ってたの? 何? 就職祝い? 」
「うん?」
やっぱり、ニコニコして答えてくれない。
ネクタイを締めて貰っていると、マスターがお花を持って現れ、何故か後ろに母まで居た。
ウチの親まで招待されてる?
「えっ? 母さん? 」
「旬。腕を出して。」
母に言われるままに、腕を突き出す。
「なに? コレ? 」
「おじいちゃんが若い頃使っていた、カフスボタンよ。」
母は、うふふっと笑って、席へ戻っていった。
「じゃ、僕からはお花ね。」
マスターがラペルホールに花を挿してくれる。
「ラペルホールはね、ボタンの為の穴じゃないんだ。フラワーホールとも言って、元々、お花を挿す所なんだよ。」
隣で、朔が説明してくれる。
へー、、、てか、なに?
何なの? この状況。
誰か説明してくれ。
「さ、行こう。」
朔が、オレの手を引いて、カウンターの方へ向かう。
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