ドアスコープの向こうから

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 ピンポーーーーン。 「…………は?」  風呂に入っても流し切れない多大な疲れを抱えて布団の上に倒れ込んだ、その直後。社会人になってからは一切聞かなくなった機械音が、狭い部屋の中をゆっくりと響き渡る。  この音を最後に聞いたのは入社前夜、一人パーティ用の宅配ピザが届いた時だったか。何とも哀しい思い出のメロディーだろう。  そう、これは非常に信じ難いが十中八九まず間違いなく、あの音だ。 「インターホン……? こんな時間に??」  俺の記憶が確かなら、これは来客がある際に鳴るものだったはず。  枕元の置時計を手に取ると、時計の針は午前3時ジャストを指し示していた。  …………うん、誰だか分からないけど、頭おかしい。  深夜3時にインターホン? 『TPO』って知ってます?  タイム・プレイス……何だっけ? まあいいや。  とにかくタイムだよタイム! タイムがプロブレムでクレイジーだよ。  っていうか誰だ、こんな夜中に。  『あなたは神を信じますか』系のやつか? お前の行動が信じられねぇよ。  それとも『受信料、払ってますか』系か? 速攻で追っ払ってやんよ。  そもそも、何でこの時間? もしかして、今の今までずっと色々な所を訪問して回ってたの? もしそうなら俺の会社よりも余程ブラックだね。  まったく、同じくブラック勤めの俺じゃなかったらとっくに寝てたぞ。  ――あ、どうでもいいけど今のセリフ、何げに強キャラっぽくてカッコ良いな。  とりあえず、誰だか知らんが無視だ無視! こちとら疲れてる上に明日も早朝出勤なんだ。スマホのアラーム4時30分に設定されてるとか信じられるか?  受信料は神様にでも払ってもらえよ。
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