ドアスコープの向こうから

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 ピンポーーーーン。 「…………は?(怒)」  ナニこいつ喧嘩売ってんの? とっても商売上手ですね。思わず高値で買いそうになっちゃったよ。  何事も無かったかのようにスルーして終始やり過ごすつもりだったけど、気が変わった。全く無関係だが、この部長への恨みと憎しみを込めた拳の餌食になってもらおうか。ネバネバ部長の代わりに、ひきわり納豆にしてやるぜ。  と、その前に、インターホンのモニター映像を見て相手の戦闘力をチェックしておくか。  俺だってバカじゃない。相手によっては、この憎悪に満ちた拳を速やかに収めて最終奥義ジャパニーズDOGEZAを披露することだって――――。 「――って、あれっ?」  誰も………………映っていない。  えっ……何で? ま、まさか、これって、もしかして…………。 「い、いやいやいや! そそそんなわけないだろ」  お、落ち着け俺。冷静に考えようか。イチ足すイチはニ、はいオーケー。  うん、きっと疲れてるから幻聴が聞こえたんだろ。そうそう、あるある。  それか機械の故障とか、あとピンポンダッシュという可能性も否めないよな。  ハハッ、なーんだ、現実的に考えればいくらだって――。  ピンポーーーーン。 「!!!!?」  3回目のインターホンが鳴る。ハッキリと、間違いなく確かに聞こえた。  再度モニターに目をやるが、やはり画面上には誰も……いない。 「た、たた、多分、カメラの死角に入ってて見えてないだけだ!」  すかさず玄関口まで駆け寄り、ドアの覗き穴(ドアスコープ)から直接玄関前を見渡した。  だけど  誰も、いない。 「そ、そんなわけが――」  トンッ――――。  不意に、ナニかの手がそっと肩に置かれた。  ひんやりと薄ら寒い感触が肌を伝い、思わず背筋が凍り身震いする。  身体中を悪寒が走り、血の気が引いていく。  周囲の空気が張り詰めて息苦しい。心臓が激しく鼓動を繰り返す。  背後に感じる異様な気配。  ――――コノヘヤニハ、オレシカイナイハズナノニ? 「……だ…………誰だっっ!!?」
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