ドアスコープの向こうから

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 ――――誰も……いない。 「な、何だ、やっぱり気のせ――」  ガチャ。 「……え?」  ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!! 「~~~~っっ!!?」  ななな何で!?? だ、だって、さっきまで外には誰もいなかったはず!? 「こんなこと……あるわけが……」  恐る恐る、ゆっくりと再びドアスコープを覗く。  その丸い視界の先にあったのは  眼。  ドアにピッタリと張り付くほどに間近から覗き返す眼は、大きく開いた瞳孔が深い闇のようで、意識が飲み込まれるような錯覚に陥った。 「!!!! ぅうぉわぁあ――――あ……?」  クラッ――。  咄嗟に仰け反った瞬間、急に目の焦点が合わなくなり、辺り一面に白くモヤがかかったようにぼやけて、フラフラと視線が宙を舞う。  ……あ、れ? 何だか意識が、遠く……な…………。
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