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「ハァ…………死にたい」
これが帰宅後の第一声とは、夢も希望もあったもんじゃないな。
入社後のしばらくは『疲れた』、1か月後には『辞めたい』、そして3か月目の現在に至る。
変わりゆく言葉は、心身が徐々に闇へと染まっていく様を表しているようだ。いや、中二的な意味じゃなくてね。
ブラック企業、パワハラ上司。
必死になって頑張った就職活動、何十社にも渡る集団面接、やっとの思いで手にした内定、その先に待っていた現実が御覧の有り様だよ。
まぁ確かにね、多くの諸外国と比べたら日本は安全で素晴らしい国だ。それは認める。
上下水道が整備されて飲料用のキレイな水がどこにでもあるし、所得が低くて貧しい家庭でも餓死しない程度の社会保障制度が充実しているし、トリック・オア・トリートで銃殺されることもない。
だが!! ことブラック企業の中においては安寧の二文字など一切無い。
とりわけ、俺のような平社員にとっては正に地獄。それも最恐の無間地獄レベルといっても言い過ぎではないだろう。
そして何より上司がウザい。地獄より果てしなくウザい。
うちの会社だと特に部長がとにかくウッ↓ザァ↑い↓!!
ちょっとしたミスでネチネチと小言を言いやがって、あの納豆野郎が。
あんな上司に媚びへつらわないと出世できないとか冗談じゃない。
ロールプレイングゲームでモンスターを倒すとレベル&ステータスアップするみたいに、仕事の経験値を貯めて昇給&出世できればいいのに。
上司の好感度で将来が決まるとかギャルゲーかよ。あと、部長がメインヒロインとか想像しただけでも超絶に気持ち悪いクソゲーなんですけど。
むしろ無能な上司をブッ倒して金と経験値を得たいんだが。
しかし、上司も上司だが会社も会社だ。
始業の1時間前出社&終業後の3時間残業というブラック企業特有の謎の慣習。勿論タイムカードは定時に押す。
この会社にしてこの上司あり。成るべくしてなった、という感じだな。
おかげ様で本日も終電ギリギリの退社、深夜の帰宅ナウ。
もうツイッターで社畜アピールする気力も無い。
ただ風呂に入って寝るためだけに存在するアパートの一室は散らかり放題。
対して冷蔵庫の中は綺麗にスッカラカンときた。
相反する状態でありながら、どちらも俺の心情を的確に表しているとは非常に趣深い。わびさびの美しさすら感じる気がする。よく分からんけど。
今の俺は会社の歯車、使い捨てのコマ。一生働いて寝るだけの虚しい人生。
さぁどうだ、見ているか日本に住む若人達よ。これが日本のブラック企業に隷属する者の実態……日本の……闇だ!!
――――ハハッ、なんてね。俺もそろそろ病んできたなぁ。いやホント、中二的な意味じゃなくてね。
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