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地面に寝転がされた状態の俺。その周りを犬がぐるぐる走り、謎の儀式の主催者顔で見下ろしてきた財前師。
「俺から逃げ切れると思うなよ」
悪役or俺様BLにありがちなセリフを吐きニタリと笑うが、なぜ毎回俺を捕まえようとするのだろうか。
「お前……散歩の途中だろ? 犬が暇そうにぐるぐる回ってんだからそっちを構ったれよ」
「嬉しい時の行動だから気にするな。さてと、俺の質問に正しく答えてもらおうか」
おバカそうな犬が立ち上がろうとする俺に、じゃれつき顔をベショベショに舐め邪魔ばかりしてくる。
飼い主に似てパワフル脳筋タイプだ。
「さっきの男は誰だ?」
「……知ったところでお前に関係ねぇよ」
「あの男のせいで真緒はいなくなったのか?」
「いいや、無関係だ」
「……真緒からあの男に乗り換えたのか?」
「違うし、そんな事は絶対しない」
「だったらなぜあんな事をしていた?」
「説明してもお前は信じないから言わない」
「言えよ。信じるかどうかは俺が決める」
執拗に聞き出そうとする財前師から不穏な空気が流れた。目が、キマッてる奴特有のドス黒い瞳になっている。
「……どうせお前は信じない。時間割いて打ち明けても嘘つき呼ばわりしてボコられるんなら、最初から暴力に耐えた方がマシだよ」
グッと歯を食いしばり、財前師の攻撃に備える。
痛いのは怖いがプライドだけは守りたい。
ヒュッと風を切る音に“あなや”と心で叫んだーーーーあれ、全然痛くない?
財前師の拳は俺ではなく自身の脚に叩きつけ、“くそったれ“とボヤいた。……虫にでも刺されたのだろうか?
2分ぐらいガスガス脚を叩いた後、『新田にとって俺はどういう存在だ!?』と叫ぶので『敵』と返すと、更に苛立った様子で『違う!』と吼えた。
「俺とお前は、綾瀬真緒を愛した恋敵であり同志だろうが!」
やっぱ敵やんけ。
「お前が真実を話すなら、それがどんな胡乱な話であっても、嘘つき呼ばわりはしない! 俺を信じろ新田ァ!!」
暑苦しく訴える財前師の勢いにのまれ、俺はハニワの呪いについて説明した。
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