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何気なく尋ねると、ハニワがシルクのようなテラテラのシーツを手繰り寄せてボディーを隠した。
「もしかして、俺をベッドに運んだのもお前?」
「……違うよ。智樹が勝手に入ってきた」
「マジで? わりぃ! でも何でお前もすっぽんぽんなの? 真緒って裸族だったっけ?」
返事がない。
あれほど男を警戒していた真緒が、俺と裸で寝る事に抵抗無かったんだろうか?
「真緒?」
ふかふかの布団に隠れて何も答えないハニワ。
エイヤーッと剥ぎ取り、無理やり顔を向けさせると、『何も聞かないで』と意味深な事を呟く。
「どういう事だよ? なぁ、ちゃんと話しようぜ」
「ごめん。本当になんでもない」
「嘘つけ! 絶対何かあった系のセリフだろ。真緒、正直に言えよ。俺たちの仲はちょっとやそっとじゃ壊れねぇんだからさ」
とかいいつつ、“本当はドッキングしちゃった♡”とか言われたらどうしよう? 慰謝料ぐらいは請求してもいいよな……?
若干ビクビクしながら真緒の返事を待つ。
数分後、やっと口を開いた彼は『智樹にとって僕は何?』という問いだった。
「……智樹の言う“俺たちの仲“って幼馴染以上の意味を含んでるの?」
虚無顔からは想像出来ないほどの、やけに張り詰めた声だ。
居住まいを正し、真剣に彼と向き合う。
「……俺にとって、真緒はすごく大切な存在だ。見た目とか関係なく大事にしたいと思ってる。でも、恋愛感情とかではない。……そういう意味で聞いたんだよな?」
「うん。……ううん、ごめん。聞いておいて自分でもよく分からないんだ。
智樹は“トモダチ”で、ずっとその関係を望んでいたのも僕自身。でも、智樹が遠藤くんと仲良くしているのを見るとすごくモヤモヤする。彼だけじゃない。太湖くんの心配ばかりする智樹にもイライラした。もう大きいから太湖くんに構う必要ないのにって。こんな風に思うの、変だとわかってる。智樹が誰と仲良くしようが、僕には関係ない。なのに最近、おかしい……」
落ち着きなく早口で喋る幼馴染は、シーツを引き伸ばしたりグシャグシャにしたりして、意味のない行動を繰り返していた。
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