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※何かと注意
発情した埴輪を前にテンパる俺。
“好きにしていいよ”と言われても、焼き物に一切興奮しないし、放置したらそれはそれで悲しませてしまいそうだ。
えっ……これ無理ゲー……。どうしよう。家から埴輪のレプリカ持って来る? 埴輪は埴輪同士仲良く……いや、真緒自身、埴輪の自覚ないしな。
「……ねぇ智樹、続けて……」
「つ、続き?」
いやいや、続きって何をですがね? 俺、埴輪のフォルム撫でただけですやん! そりゃちょっぴり緩急つけたり、心の中で『ふむ、これはかなり希少な埴輪ですね』とあらゆる部位を鑑定してたけどさ。だとしても、デンジャラスゾーンは触れてねぇぞ?
困惑したまま、とりあえず真緒の頭部を撫でる。しかし『焦らさないで』と言われ、胴体部分をサワサワしたら『んっあっ』と変な声出されてビビった俺はつい『声我慢しろ』と言っちゃって、手で口(虚空の穴?)を押さえた埴輪の奇妙な息遣いに、ホラー映画を観ている気分だ。
えーと……これ何タイム? 喘ぐ埴輪なんてもはや怪奇現象だけど、どうすりゃいいの?
だいたい俺『坊や、こっちにいらっしゃい♡』的なやつしか観てないから自分主導になるとテキスト欲しいぐらいだし、何をすれば埴輪をフィニッシュさせられるのかも分からん。
かと言って『真緒は俺にどうされたい?』とか聞くのも生々しくてなんか嫌。
…………ウン。強制終了するっきゃねぇな!
「はい! マッサージ完了! おつかれしたァ」
パンパンと手を叩き、横たわる埴輪にシーツを被せた。そして素早く着衣ーーあっ俺の服がない……洗面所だ……。
「待って智樹! 何で? どうして最後までしないの?」
ガバッと起き上がり俺の腕を掴む埴輪。
「勘違いすんなよ真緒。俺はお前に手を出すつもりは端からない」
「でも、さっきのはーー」
「ただのリンパマッサージだ!!」
つい大声を出してしまって、真緒がビクッと手を離した。
「マッサージ……?」
「そうだ。お前、血行悪そうな顔してたから老廃物流してやったよ。あとはちゃんと服着て寝ろ。わかったな?」
後半言いくるめるように真緒の頭部を撫でたが、『僕にあんな事したクセに』と言われ、俺は一体埴輪に何をしたんだろう? と内心焦る。
「……智樹から始めたのに……“無かった事”にするの?」
「ま、真緒くん?」
「……中途半端な事して放り出すくらいなら、優しくしないで……」
声を震わせて呟く彼に『でも真緒も俺とドッキングなんてそもそも無理だろ?』と軽い気持ちで聞いたのが運の尽き。
『出来る!』と断言されたあげく、『もう僕がリードする!』と主導権を握られてしまった。
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