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※挿絵注意
えっ……この状態マジ意味わかんないんですけど。
俺、裸で寝る習慣ないし、お腹冷えちゃうから腹巻き必須なのに……ダビデ像モードでスリープとか脱がされたとしか思えない。
やっぱアレかな? バーで酔っ払った中堅女子が行きずりのイケメンと朝チュンしちゃった♡的なヤツ? 俺の場合、相手はあの埴輪? 重要文化財に俺はそういう行為をしたって事? 多分弥生人ですらトライした事ないと思うんだけど。歴史上初の埴輪を抱いた男に俺なっちゃったの? ギネスに載ったらどうしよう……。
『……ともき?』
白い掛け布団に包まれた“何か“がもぞもぞと動き始めた。
薄暗い室内に目が慣れてくると、ぼんやりとだが細々した物まで見える。
ゆっくり起き上がってくる“何か”を真緒だと分かっていながらも直視する事が出来ない。
今、埴輪に“しちゃったね♡”と言われたら俺の心が確実に死ぬ。
すまん、真緒。何も言わず黙って寝てくれ。
俺は家でもう一回寝て夢オチだと思う事にする。
お前もヨボヨボのじいさんになって孫に年金搾り取られる歳まで俺と囲碁とか世間話とかしたいだろ? だから忘れようぜ。ただの幼馴染の関係に戻るんだーー。
『智樹、どうしたの? 大丈夫?』
ふかふかの掛け布団(多分もっとちゃんとした名前の高級そうな布団)にごめん寝スタイルで蹲る俺に、真緒が心配そうな声で近寄ってきた。
『本当に大丈夫? もしかして、さっきのアレのせいかな?』
やめろ。埴輪との情事をリフレインさすな。
『ごめんね智樹。途中から楽しくなっちゃって、智樹に無理させたかも』
!?
えっ待って。俺が無理するパターンって何?
全然記憶にないけど、9回裏までいったとか?
ヤダ、俺ほぼ馬やん。でもなんか……嬉しくない。
『ねぇ、智樹の腰大丈夫? 僕、勢いよく突いちゃったから、どこか痛めてない?』
!??
俺が……埴輪に……突かれた……だ……と……?
抱いたんじゃなくて、俺が抱かれたの……?
じゃ、俺は童貞のまま別の何かを喪失したって事?
『智樹、ちょっと腰見せて。具合良くないならお医者さんにーー』
「イヤァァァァ触らないでッ! このケダモノッ! 破廉恥埴輪のバカァッ」
腰に触れようとする真緒の手を払い除け、若干オネェ口調になりつつ、俺は大声で泣いた。もう泣くしかなかった。
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