お便りの時間です

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お便りの時間です

 ウェールドの洞窟に棲むドラゴン、ヨルムンガンドが倒れた。 洞窟の奥で、集めた金銀財宝はそれを倒した勇者たちの手に渡る。女魔道士アグリスが放った魔法が決め手となったのか、戦士リカルドのドワーフ製の剣ジークフリデの一振りが決め手となったのか、死闘の末に兎に角ヨルムンガンドは洞窟からいなくなった。 ヨルムンガンドが棲んでいたマインスイーパー山脈を馬車で下り、ロッテリオンの町にある小さな酒場で勇者たちはひと息つくことにした。丁度、三時ごろのことである。勇者たちにも休息は必要だ。  「盗賊リオナ・マクビール、未だ見付からず、情報求むか。ウェールドの警備兵も大変ねぇ」  魔道士のアグリスは店の新聞を読みながら、隣で珈琲を啜るリオナの顔をちらりと見た。アグリスは知っている、リオナが勇者の装備品目当てで近付いたことも、ヨルムンガンドの財宝目当てで近付いたことも。何より、魔法で整形したことも。 整形魔法は定期的にかけないと、肌荒れや顔が崩れてしまうので、一日一回はかけるようにしている。  「早く捕まえてしまえばいいのに、どんくさいよね。そんなことより馬車のレンタル料がドラゴン退治で三日も延期したじゃない。延滞料金とられるんだからね」  リオナは自分の逮捕より、馬車のレンタル料に延滞料金がとられることを心配している。
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