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「ドノヴァンくん、いますか?」
アグリスは恐る恐る、ドノヴァンの部屋の扉を開けた。
「アグリスちゃん、やっと会えたね」
「うん。ドノヴァンくんのご期待通り、お付き合いしてあげる。わたしのこと、今でも好きなんだよね」
「本当? 嬉しいなっ!」ドノヴァンは勢いよく鼻息を荒げながらアグリスに迫る。
「姿を消して、お手紙をお便りの中に紛れ込ませておいて、その後もわたしたちのことを見守っていてくれたんだもん。ドノヴァンくん、すごいよ。そんなドノヴァンくんにわがまま聞いて欲しいんだけど、ダメかな?」
「わがまま?」
「勇者パーティーのみんなは、わたしの大切な友達なの。だから、わたしの大切なひとたちをドノヴァンくんにも大切にして欲しいの。そういうわけで、今、魔法で操ってるフィギュアを止めて貰えないかなぁ」
「大切な、友達?」
「あなたのフィギュアと同じくらい大切なひとたちなの。わたしもあなたのフィギュアたち大事にしたいから、大切にしてくれるかな?」
「わかったよ」ドノヴァンは頷くと、呪文を詠唱し、フィギュアの動きを止めた。
「ありがとう。そんなドノヴァンくんだから、わたしあなたの夢をもっと応援したくなったよ」
ドノヴァンの夢。アグリスの情報を部屋一杯に満たすことだが、アグリスは認めることにした。
「応援してくれるの?」
「だって付き合ってるんだから、彼氏の夢は彼女のわたしが応援してあげなきゃね。ドノヴァンくんもわたしの夢、応援してくれる?」
「アグリスちゃんの、夢?」
「わたしは賢者になるんだ。だからもっと勇者パーティーで活躍しなくちゃね。ドノヴァンくんもわたしがばっちり活躍した記事欲しいでしょうし、彼女が賢者だったら鼻が高いんじゃない?」
「どうすればいい?」
「もう少し勇者パーティーで旅させてくれると嬉しいな。珍しいアイテムお土産に、たまに帰ってあげるね」
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