お便りの時間です

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 「それ、今することか?」  「しょうがないでしょ! あんたらが魔物にふらふらと近づいて、勝手に戦闘おっぱじめるんだから。オチオチ読んでいられないのよ」深呼吸を一つして、アグリスは最初のお便りを読み始める。  「ウェールドにお住まいの、仕事したいAさん。四十五歳。そろそろ定職に就きたいのですが、お勧めの職業ってありますか? 何か儲かりそうな職業がありましたら教えて下さい、か。ズバリ言います"魔道士に頼る悩みじゃない"」  「ばっさり斬りじゃない? あたしが答えたげる」リオナが身を乗り出してお便りに答える「お勧めするなら不労所得で儲けるのが一番よ」  「働くなということか?」リカルドがリオナを睨み付ける。  「意味が違うわよ『労働』でなく『商売』するの。手に入れたお宝を高く売って手堅く儲けるの」  「犯罪者にしてどうする。仕方ない、俺が答えてやる。仕事するなら戦士、傭兵がお勧めだ。正規の戦士は公務員だから、安定はしているが、昇給もボーナスもない。傭兵なら実力次第でどかんと儲けられる」  リカルドは煙草に火を点けながら、質問者の問いに答える。  「今から働こうとするひとが、実力もなにもないと思う。道具屋の店員始めるのが、現実的かなぁ、やっぱり」  アグリスはため息を吐きながら、そう答えた。  「思ったんだが、オレたちの答えは質問者に聞こえてるのか?」  デュランドは素朴な疑問を口にする。  「わたしは、ここで出した答えを各質問者さんに伝えなきゃならないの。これには魔法を使ってはいけないって師匠から言われている」  「どんな師匠だよっ! 第一問目の質問の答えが道具屋の店員をしてみろということか」  リカルドはウェイトレスが運んで来たビールをぐいと喉元に流し込む。
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