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 賞金首の盗賊が死亡したとなれば、かけられた懸賞金は無効になり、賞金稼ぎから狙われることもなくなる。 デュランドたちも、指名手配犯を匿いながら旅をしてきたから、手離して身軽になりたい気持ちもわからなくもない。パーティーから除外すればウェールド中の賞金稼ぎから狙われる。そうなるくらいなら、せめてパーティー内で葬ろうというのがアグリスの武士の情けなのかも知れない。 自分も、デュランドたちの気持ちに報いようと一生懸命に出来ることをしてきたつもりだが......  「わかったわ。アグリスがそうしたいなら、そうしてくれる?」  リオナは肩を落とした。  「了解、リオナ・マクビールはヨルムンガンドの洞窟で死亡したことにする。お宝を盗む最中にヨルムンガンドに食べられた、と。だから、彼女の遺体は存在しないともね」  「じゃあ、あたしはどうなるの?」  「あなたは、リオナ・マクビールではない。ルリオ・マックビーよ、考古学者ルリオ・マックビー。それがわたしたちの新しい仲間」  アグリスは匿名希望者の質問者に出す答えをようやく見つけた。
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