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「デュランド、リカルド。ストーカーだって! 撃退してあげてよ」
ルリオはデュランドの椅子をユサユサと揺らしながら、懇願する。
「ストーカー野郎をオレたちが蹴散らせと?」
「剣を抜くまでもねぇじゃねぇか、そんな奴。好きな奴に堂々と告白できないヘタレに勇者パーティーの剣士が負けるわけがねぇ。かかってこいってんだ!」
リカルドは笑いながら、ビールをグビグビと飲み干した。
「アグリスも大した魔道士だよな。ストーカーの質問に冷静に答えてるんだ。普通ならビリビリに破いて捨てるだろうに」
「伊達にあんたたちを魔法でサポートしてきたわけじゃないのよ。でもストーカーくんは何時からわたしたち、いや、わたしのことを見てたんだろう」
アグリスは考える。
お便りでは昨日のこと。つまりヨルムンガンド討伐時にストーカーはアグリスの後を尾行していたとある。テントを外から見える位置にいて、下着の色も見えていたという。
テントの外にいながら、下着の色が見えたというのは矛盾しているような気がするが、姿を消してテントを出入りしたと考えれば合点がいく。
馬車を借りた時からずっと尾行して、ここまで付いて来たなら尚更だ。だとすると、店でお便りを読むことは"勇者たちとの会話を聞かれている可能性が非常に高い"
寧ろ、いつどこで読んでも同じなら、早いほうが良い。一つだけはっきりしていることは、相手は自分と同じ魔道士だ。
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