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盛大な思い違いをロウに聞き出され、離縁まで行き着いてしまった思考を酷く怒られてしまった。
そして互いに湯浴みを済ませると、夫婦の寝室にてまったりとした時間を過ごす。
「あいつは長年の俺の想いを知ってるからね。成就出来て舞い上がってる俺をイジる為に毎日来てたの。兄貴ヅラしてるけど根性はまあまあ悪いからリリーも気を付けて欲しい」
「そうかしら? いい人だと思うけど……」
「いい人だったら新婚の俺たちの所に毎日来るなんて無粋な真似はしないよ。しかも帰んないし……それよりも今夜はさ、最近ずっとニールのせいでリリーと抱き合えなかった俺を慰めて欲しいんだけど」
隣同士のソファに座るロウに悩ましげな視線を送られる。我慢ってそっちのことだったのかと気付き、瞬時に顔に熱が集まっていく。
肩を抱いていた手が誘うようにわたしの身体を撫で上げて、ついでとばかりにもう片方の手が夜着の中に差し込まれていた。
「ま、待ってロウ! ここじゃ……っ」
「うん。分かってる。それとルイスね。早く慣れて欲しいから間違えた分だけキスしてあげる」
啄む優しい口付けもなく一気に濃厚な大人のキスが降ってきた。何度も交わしているのに、ロウの唇や舌はついていくのに必死だ。
「リリー、俺の名前は何?」
「んむっ……ル、ルイ……っ」
「聞こえない。まだキスが足りないみたいだね」
「ちがっ……ル……っんん」
言葉を紡がせるつもりがないらしい。
口を開けるたびに割り込む熱い舌先が中を擽り、音を立て、吐息すらも奪われる。
口付けに翻弄されている間に、すっかりはだけてしまった夜着は腕に纏わり付いていて、自由に肌を動くロウの指先を止めようにも拘束のような役目を果たし、抵抗らしい抵抗が出来なかった。
「リリーがまだ俺の愛を正確に判断していないことがよく分かったよ。今日は嫌というほどその身に分からせてあげるから覚悟してね」
口付けだけで思考がぼやける。
力をなくしたわたしの身体を軽々と持ち上げて、数歩先の寝台へ降ろされた。覆い被さるロウの身体が火傷しそうなほど火照っている。
きっとわたしも同じだろう。
情欲を灯す瞳に見つめられれば、それだけでもう発火しそうなぐらい熱くてたまらなくなっていた。
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