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「ルイス、もう間違えないから」
止まって欲しいと懇願する。
明るい部屋、それに人の気配に怯えながらなんて悪趣味だ。
「まだダメ。あと二回、間違った回数だけ呼んでもらう」
「ルイ……っむ」
呼んで解放されたいと思った気持ちはロウに読まれていた。開いた口に容赦なく入り込む熱に息も声も奪われる。
「ほら、言ってよ。その可愛らしい唇で俺の名前を呼んでくれ」
キスの合間に催促するくせに。声を上げようとしたらまた塞がれる。普段は優しいけれど、こういう時のロウは意外に意地悪だ。
かなりの時間、好き勝手に口内を蹂躙されたと思う。かろうじて三度目の名前を口に出せた時には、ぐったりとソファに身体が沈み込んでいた。
「本宅に帰ろう。早く帰って君を抱きたい」
「ちょ、む、無理……」
「無理じゃない。しっかり掴まってて」
軽々と担ぎ上げられ部屋を出る。少し乱れた服装と真っ赤になっているだろうわたしを目にしたカレンさんは、何も言わなくても大方を察したようだ。
「迷惑かけたな」
「今度来る時は是非二人一緒でお願いしたいものね」
「ああ、大丈夫だ。なんなら三人になっているかもな」
「そりゃ愉しみだ。せいぜい励むといいよ」
「言われなくても。……じゃあな」
二人の会話に目眩がしそうだ。
が、これが事実になりそうな気がするのは、気のせいじゃないような……
ニヤニヤと笑うカレンさんに見送られ、わたしはロウと共に本宅へ。
帰り着いた途端、そのまま寝台に連れ込まれ、やはり朝方まで啼かされる羽目になった。
「今回は謝らない。俺がどんなに傷付いたかリリーは分かってるはずだ」
「………」
「あれ? 返事がないね。まだ足りない? まだ俺の愛が伝わってないのかな」
「……!」
触れる指先に身体が熱を持つ。
もう声を出す気力も自力で動かすこともままならない。分かっていながら緩やかに身体に這わせる不埒な指先に、やっぱりロウは意地悪だと思った。
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