壊れゆく、堕ちていく

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壊れゆく、堕ちていく

わたしは、過ちを犯した。 一度目の失敗は、自己陶酔の想いに囚われた事。 二度目の失敗は、あの時に死ななかった事。 三度目の失敗は、脅しに屈し、嘘を重ね、恥かしげもなく生きている事だ。 視界が揺れる。 自分の意思ではなく、強制的に続けられるものによって。 熱く、乱れた吐息が首に埋まる。 そこからねっとりと這い回る舌は、吸い上げ、音を立て、嬲り、荒ぶる情欲を無遠慮に押し付けてくる。 気持ち悪い。 心が、身体が、わたしの全てが拒否をするけれど、止める術もやめさせる術も持ち合わせていなかった。 「レイはバカだな。いくら君に興味がないとはいえ、こんな心地良い身体を抱かずに捨てるなんて」 散々、人の身体を弄んだくせに、まだ足りないのか。男が吐く言葉が秘めた古傷を鋭く抉る。 「君はもっとバカだよ。レイに相手にされなくて他の男に慰めを求めるなら、上手くやらなきゃ。噂が立つほどするなんて、よっぽど身体が寂しかったんだろうがな」 違う。何もかも間違っている。 悪意の塊のような、創作された噂を信じた者も、広めた者も、それに負けた自分自身も。 ロウの屋敷を抜け出して、こうして日中から男と交わる行為は、もう何度目になるのだろう。 『公爵にお前の本性をバラされたくなければ俺に従え』 そんなものは、どうだって良かった。 ロウに会う前からすでに地に落ちたものなど。 『従わないなら、違う噂を流してやろうか? 公爵は身分もない下賎な悪女に手玉に取られた、腑抜けでマヌケ野郎だってな』
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