誕生日

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金曜日 いつもと同じく凛さんを送っている。 今週は誕生日ということもあって 帰りの荷物は いつもより少々多めだった。 そして今週はいつもより酔っていた。 車内でも寝ていたし… 凛さんは酒が強い…が、 今日がこんな感じなら、 明日は潰れるんじゃないのか? 誕生会だし… 車に乗って、速攻で寝てしまった。 仕事上必要なのはわかるけど… 体壊すんじゃないのか? 心配だよ… もうすぐ到着という所で 凛さんは目を覚ました。 「…寝てた」 寝起きの凛さん、ぼーっとしてる。 普段はクールな感じなのに。 こういう時は結構可愛い。 他の人が見ることのない一面を 見られて嬉しい気持ちで一杯だ。 一杯だ…けど…複雑だ。 「ぐっすり寝てたよ。沢山飲んだ?」 「…飲まなきゃ… お客様に…悪いじゃない… お店のほうでも… 結構な本数のシャンパン… 仕入れてるみたいだし…」 途切れ途切れになる話し方… つらそうだ… 「明日は大変だね。大丈夫?」 「…大丈夫じゃない…かも」 「そんな事言うと心配になるよ」 「心配してくれるの…?ありがと… 明日も寝ちゃったら…ごめんね…」 「大丈夫だよ。 起きたらちゃんと家に着いてるから。 安心して寝ていいよ」 笑いながら凛さんに言う。 ・・・言いながら自分の言葉に心が騒めく。 気を許してくれるのはいい・・ 俺だけに見せてくれる表情や言葉遣い。 これでいいと決めたんだ。 何の不満がある・・・ 認めたくない・・・ 認めたくないけど、凛さんは… ・・・俺に特別な感情はないだろう。 気の許せる運転手さん… くらいにしか思ってない… 警戒心が・・全くないのだ・・ 凛さんの中で安全な人というポジションに 完全に入ってしまっている。 俺が何か言ったら完全に この関係は間違いなく壊れるだろう。 そんなこと思ってる間にマンションに着いてしまった。 ・・・プレゼント渡さないと・・ プレゼントは水曜に出来上がっていた。
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