誕生日

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もう3時半過ぎだ… 俺の勤務時間は3時まで 凛さんからの連絡はない 他の社員が…と思い聞いてみたが 誰も送ってないという… 他(他社)を使ったのかな… 帰り支度をし、 自分の車に乗り換えた そのまま帰ろうとしたけど なんだか気になって 凛さんが使ってる駐車場へ車を走らせた 今日の凛さんは 笑ってたけど 沈んでるようにみえた そんな事は今までにも何度かあった でも今日は違う 酒の飲み方も変だった… 最初に見た時は いつもと変わらなかったのに… ……あれ? ……車がある… ん?助手席に人?……凛さんっ? 俺は凛さんの車の横に駐車して 助手席を覗き込む …寝てる? ……違う、えっ?泣いてる? コンコン、コンコンと 強めに窓を叩いた …なんで…どうして… …何があった? 凛さんは顔を上げない… 「凛さんっ!凛さんっ!」 俺の呼び掛けが届いたのか 凛さんはゆっくりと顔を上げた いつもと違う凛さんの様子に 不安を感じた 俺の事を認識した凛さんは 助手席のドアを開けて ……山岸さん……と 小さな掠れた声で俺の名前を呼んだ… 「凛さん、どうしたの? 何があった?」 助手席のドアを掴みながら 俺はしゃがみ込む 俯いて何も答えない凛さんの唇は 小さく震えていた どうするか… このままじゃいけないよな… 店で契約してる駐車場だから 凛さんの車はこのままで大丈夫だ 俺の車使うか… 「凛さん、俺の車でよかったら 送って行きますよ?」 凛さんは顔を上げ、 ゆっくりと瞬きをしてから頷いた。 凛さんの車には 沢山のプレゼントや花が 積んであったけど、 とりあえずそのままにして 俺の車に乗ってもらった。 誰かに見られてたら 明日には噂が広まってるだろう… でもそんな事、今はどうでもいい… 俺は隣にいる凛さんの様子を見ながら ゆっくりと車を走らせた…
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