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俺は、彼女に何をした?
必死に耐えて、研究所にデータを提供し続けている彼女に、俺は。
自己嫌悪のスパイラルにはまり込んだ俺の思考は、ずぶずぶと悪い方向に沈み込んでいた。
いっそ、彼女じゃなく、俺が発症していたらどんなによかったか。
そう考えること自体が彼女を侮辱していると分かっていても、そう思わずにいられなかった。
でも、と、なんとか思考を上向けようとする。
痛みを分かち合うことはできなくても。
ただ傍観すること以外にも、ここで自己嫌悪を抱えて座り込んでいること以外にも、できることはあるんじゃないのか?
俺は、自分で、自分ができることを減らしているんじゃないのか?
何とかプラス思考に持っていくことに成功した俺は、ひとつ深呼吸すると勢いよくソファから立ち上がった。
彼女の病室に戻ろう。
さっき逃げるようにして来た道を落ち着いた足取りで辿る。
部屋に着いたら、思いっきり謝ろう。
謝り倒して、頑張れって、ちゃんと目を見て言おう。
きっと、彼女はわかってくれるはずだから。
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