あと、1ヶ月だから。

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彼女の部屋の前にたどり着き、もう一度深く深呼吸する。 大丈夫、ちゃんと話せば、きっと分かってくれる。 ノックをするために手を持ち上げ―――――― ガタンッ!! ドサドサッ 何かが落ちる音、そして崩れるような音。 ベッドの横に積んであった参考文献が荷崩れしたのかもしれない。 そんな緊張感の薄いことを、そのときはまだ考えていた。 荷崩れしたのなら、ノックするより先に入って片付けるべきだろう。 そう考えて、ドアを開ける。 結論から言って、確かに参考文献のタワーは崩れ、ベッド周りの床に散乱していた。 ――――床に倒れている彼女を下敷きにして。 「ッおい! 大丈夫か⁉︎」 あわてて駆け寄り、彼女の上にある本をどける。 抱き起こした彼女は、完全に脱力した身体を俺に預けたまま、返事どころか身じろぎひとつしなかった。 火傷しそうなほど熱い身体の中で、顔だけが異常なほど青ざめている。 「っ…………‼︎」 非常事態にエラーを起こした脳味噌はまともな判断を期待できる状況じゃない。 半ば自失状態で、俺はただナースコールのボタンを押すことしかできなかった。
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