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緊急で開かれた研究所の重役たちの会議は、大混乱の様相を呈した。
モルヒネかそれに準ずる痛み止めを処方すべきという人権派と、他の患者のためにこのままデータを取り続けるべきという研究派が真っ向から対立して、もう何時間も膠着状態が解消されていない。
彼女と関わりが深いからという理由で末席に座ることを許された俺は、怒鳴り散らしたい衝動を必死に押さえ込んでいた。
お前ら、そんなに彼女を痛めつけて楽しいか?
さっきから感情論と世間体ばっかで、この3時間全く意味ねぇだろ。
腹の中を吹き荒れる罵詈雑言を押さえ込みながらも、俺の中の冷静な部分が静かに指摘していた。
――お前は、この会議がどういう形で決着すればいいと思ってるんだ?
分からなかった。
俺個人の意見で言えば、痛み止めを処方してほしい。
彼女の痛みを僅かでも和らげる術があるなら、どんな代償を払っても手に入れたい。
だからといって、彼女はそれを望むのだろうか?
どんなに痛くても苦しくても、彼女は耐え続け、研究所のバカどもにデータを提供し続けた。
彼女なら、データ収集源として生き抜くことを望むのかもしれない。
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