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「約束する。4日経って治らなかったら、俺が君を楽にしてやる。絶対だ」
できるだけ力強く、はっきりと言う。
それが最後の希望になってしまうのなら、俺は、それを尊重したいから。
「研究所に、顔出してくる」
そう告げ、ベッドの脇のイスから立ち上がる。
パソコンと最低限の資料だけ持って、この病室に籠城するつもりだった。
「もう少し、いてもらえませんか? もう少しでいいんです。お願いします」
びくりと、身体がはねた。
気が強く、発症前は誰にも頼ろうとしなかった彼女が、こんなにも必死に懇願している。
俺は、どれだけの苦痛を彼女に課しているのだろう。
「必要なもの持って、戻ってくる。4日経つか、治るまで、ずっとここにいる」
短く答え、後ろ髪を引かれる思いで病室を出る。
全速力で病院に隣接する研究所に走り、最重要の資料と、愛用しているノートパソコンを小脇に挟み、病室にとんぼ返りした。
プロジェクトの幹部メンバーだからできることだ。
ゆっくりとドアを開けると、それに気づいた彼女はきつく歪めた顔を上げた。
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