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「ごめん……ごめんな。けど、頼む。あと4日だけでいい。だけなんて言える日数じゃないけど、4日だけ頼む。4日でいいんだ。だから……」
自分でも、何を言っているのかわからなくなってくる。
自分だって4日もたないのに。
俺たちが彼女に苦痛を強いているのに。
気がつくと、俺の頰には涙が伝っていた。
彼女は、それを見て微笑む。
「すみません、取り乱しました。……大丈夫です。今まで1ヶ月耐えてきたんです。4日くらい……大丈夫ですよ」
さっきの涙は、残滓さえも残っていなかった。
――卑怯だ。
すぐに後悔した。
俺が泣いたら、彼女が泣けなくなる。
もう殺してと、言えなくなる。
「ごめんな。ごめん、本当にごめん」
発症させてごめん。
被験体にしてごめん。
モルヒネ出せなくてごめん。
1ヶ月経ったのに、治せなくてごめん。
なのに、1週間も余計に耐えさせてごめん。
弱音吐けなくしてごめん。
君の方がずっと辛いのに、俺が泣いちゃってごめん。
言葉にしきれないごめんを、繰り返す。
それさえも彼女に許すことを強要しているようなものなのに、それに気づいているのに、俺は謝罪の羅列を止めない。
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