第4話 卑屈

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「あとは、写真取らなくっちゃ」  姉はスマホではなくわざわざデジカメで私を撮影しました。 「あとで送るからね」 「いいよ、別に」  私は写真が全然好きじゃなく、自撮りもプリクラもちっとも撮らないので、私の浴衣姿の写真も別にいらないと思ってしまったのです。しかし、この私の反応にはさすがに姉はため息をつき、 「ねえ、麻由子、あんたかわいいのにどうしてそうも卑屈なの」 「別にかわいくないでしょ。お姉ちゃんと違って美人でもないし、彼氏なんて無縁だし、写真なんて残してどうするの」  思わず言い返してしまいました。少し語気が強くなってしまったので、怒られるかと身構えましたが、姉は諭すような口調で言いました。 「麻由子、あのね、恋愛っていうのは何もね、美人でかわいい人のためだけにあるわけじゃないのよ。普通の子にも、そんなにかわいくない子の身にも普通に起こるのよ。というか麻由子は十分かわいいから」   私は姉の言うことが正直しっくりこなかったので、そうなの、とぼんやり返すと、そうよ と姉はきっぱり言いました。 「私に彼氏とかできたりすると思う?」 「当たり前でしょ。何言ってんのよ。私なんて、もうすぐ結婚するんだから、もうこの先『新しい彼氏』ができることなんてないのよ。そう考えたら、麻由子はいろんな人と付き合える可能性があるのよ。私は麻由子が羨ましいわ。なにもかもこれからだもん。今は、お姉ちゃんの言っていることの意味、わからないだろうけど。とにかく、あんまり卑屈になっちゃだめよ。写真はあとであんたのスマホに送るからね。別に見なくてもいいから、消さずに持っておきなさい」  姉はそう言うと、自身の着付けに向かいました。
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