第3話 浴衣

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第3話 浴衣

 翌日、姉とショッピングモールに行きました。今度の夏祭りに着ていく浴衣買うためです。あんなちょっとしたお祭りに浴衣なんて、と思っていたのは私だけで、姉は、夏祭りに浴衣着ないなんてありえないと言って、私を強引に浴衣売り場まで連れて来たわけです。  ショッピングモールの、レディースの服が売っているフロアの一角に、浴衣がまとめて売られているところがあったので、そこに行きました。  浴衣なんてどうでもいいと思っていたのですが、いざ色とりどりの浴衣を前にすると、少し楽しい気分になってきました。ピンクの生地の花柄や、真っ赤な浴衣は気が引けましたが、水色の生地の紫陽花柄や菊柄の浴衣も素敵で、この辺なら私が着ても許される感じ――何に許しを得るのかは謎ですが――がしました。  白の生地に水色のストライプが入っていて、その上に紫陽花が散りばめられた浴衣が目に入ったので、手に取って、 「これにしようかな……」  とつぶやくと、 「おー。いいんじゃない、今年は水色とモダン柄流行りらしいし」  と姉もあっさり気に入ってくれたので、それを姉が買ってくれました。姉は、落ち着いたピンク色の生地に、赤い花柄の浴衣を自分用に買っていました。
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