第4話 卑屈

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第4話 卑屈

 お祭りの日当日、着付けは母がやってくれて、ヘアメイクは姉がやってくれました。私は姉にされるがまま眉を剃られ、顔にいろいろ塗られ、アイシャドウやら口紅やら塗られました。その後に姉は、私の短くてくせのある髪をまとめて、何か飾りをつけました。 「わあ、麻由子! すごくかわいいわよ! ほら!」  姉は、メイクを終えると満足気に私の顔を見たあと、鏡を見せました。鏡の中には目元と唇が赤くなった私がいました。メイクした私は見慣れない顔で、かわいいのかかわいくないのかよくわかりません。頭につけられた花はかわいいと思いました。 「まあ、いつもよりはましだけど……」 「もー。もう少し喜んで!『わー! これが私!?』ぐらい言って!」 「ごめん、リアクション下手で。ありがとう」  せっかくやってくれた姉のために、もう少し喜べばよかったと反省しました。
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