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第5話 お祭り
まだ花火が始まるまで時間があるというのに、お祭り会場は屋台がひしめき人で溢れていました。
「麻由子、プリキュアのお面あるわよ! 買ってあげようか?」
「お面なんて、いいってば」
「昔は欲しがってたじゃない」
「何年前の話よ」
「たしかに、そうね」
姉は笑いました。実を言うと私は現在のプリキュアのアニメも見ています。日曜日の朝暇だからつい。だけどさすがにお面はいりません。姉も私の状態をわかっていながら冗談を言っているのです。
私はそのあと、当たりが入っているのかわからないくじ引きとか、ポンコツそうな銃が置かれた射的とか、やたら大きな金魚がうごめく金魚すくいなどを冷ややかな目で見つめて素通りし、たこ焼きを姉に買ってもらい頬張っていました。
ふと、見慣れた顔が横を通ったことに気がついて、振り向くと、私の好きな人がいました。青い甚平を着ていました。その人の隣には女の子がいました。
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