愛ある監禁

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俺がこの部屋に監禁されてから10日が経った。 俺が居る部屋は20畳程の広さで、部屋と繋がってトイレもお風呂もある。 部屋には、大きな窓の傍にダブルベッドと木のテーブルと2脚の椅子があった。 ベッドが大きいので「これは2人用のベッドなのか」とアルファ厶に聞いたところ、この国ではどうやら1人サイズの大きさらしい。 その1人サイズだというベッドに、監禁された日からアルファ厶と2人で寝ていた。 寝る時だけではなく、朝も昼も夜も2人で食事を摂り、職務であろう仕事をテーブルでこなし、俺にこの国の様々なことを話して聞かせたりして、四六時中アルファ厶もこの部屋にいて、俺の傍から離れなかった。 そうなれば当然、俺は死にたいなどと考える暇もアイツの事を思い出す暇もなく、だんだんとアルファ厶との生活にも慣れて、アルファ厶と過ごす時間が楽しいと思うようになってきた。 この城はエン国の端にあり、アルファ厶は「なぜか急に思い立って、カナが現れる前日に来たのだ」と言っていた。 それだけでなく「俺にカナを与える為に、神が天啓を示されたのだ」と、とても非現実的なことも言っていて、俺はどう反応すればいいのか困ってしまったのだけども、アルファ厶がとても優しい目で俺を見るから、まあいいか…と曖昧に笑い返していた。 この国の中心にあるアルファ厶の王城は、ここから馬で丸2日かかる所にあるらしい。 10日間傍で俺の様子を見て、もう大丈夫だろうと確信したアルファ厶が、「明日、俺やシアンと共に城へ帰るぞ、カナ」と太陽のような笑顔で言った。 結局監禁とは名ばかりで、俺は甲斐甲斐しくアルファ厶にお世話をされて、穏やかな時間を過ごしただけだった。 名ばかりの監禁生活の間に、俺の頭の傷は殆ど治っていたのだけど、念の為という事で、ここを離れる前夜、アルファ厶に連れられて奥庭にある泉に来た。 何も泉に浸からなくても頭から水をかければいいんじゃないか?と思ってアルファ厶にそう言ったけど、「ダメだ。しっかりと入らなければ効き目がない」と嘘か本当かよく分からないことを言われて、アルファ厶に抱き上げられた。 「ちょっ…!1人で入れるからっ」 「俺と一緒に入った方が効き目がいい」 「…アルって俺がこの国のことよく知らないからって、適当なこと言ってない?」 「……そんな訳ないだろう」 変な間をあけて答えたアルファ厶を、俺は目を眇めてジッと見る。 アルファ厶は、一瞬目を逸らせた後に俺を抱えたまま泉に入った。そのままゆっくりと腰を降ろすから、俺はアルファ厶と向かい合わせでアルファ厶の膝の上に座る形になった。 肩までくる冷たい水にブルリと身体を震わせた俺に笑って、アルファ厶が俺の頭を自分の肩に抱き寄せた。 泉の水を含ませた布を俺の頭に当てながら、髪にキスを落としてアルファ厶が低く囁く。 「カナ…、明日は長い距離を移動しなければならない。少しでも疲れたら、すぐに言うのだぞ?」 「うん…。でも、初めて外に出るから、俺すっごく楽しみだよ」 「そうか?なら良かった。だが、外には危険も多い。絶対に俺の傍からは離れるな」 「う、うん…。アルファ厶…、俺を守ってね?」 アルファ厶の肩に頬をつけたまま、チラリと見上げる。 途端にアルファ厶の目が光って、俺の腰に回された腕の力が強くなった。 「カナ…」 「なあに?」 アルファ厶が、俺の身体を離して目を細めて見てくる。 何をそんなに見るのかと首を傾げると、アルファ厶の手が俺の胸に触れた。 ビクンと身体を跳ねさせてしまい、慌ててアルファ厶の手を掴む。 「なっ、何触ってんだよっ」 「…カナのここが可愛くてな…」 アルファ厶の視線を辿って下を見ると、濡れた白い服が張り付いて、俺の乳首が赤く透けて見えていた。 元いた世界では、上半身裸で泳いだり他人と温泉に入ったりしていたから平気な筈なのに、なぜか今はとても恥ずかしく、しかも俺の乳首がとてもいやらしく見えて、慌てて胸を隠そうとした。 が、両手をアルファ厶に掴まれてしまい、文句を言おうと顔を上げた瞬間、唇を塞がれた。 柔らかく食まれた後にペロリと唇を舐められる。口内に侵入した舌に「ふぁ…っ」と甘い声を漏らして力が抜けてしまう。 俺の手を離したアルファ厶が強く抱きしめるから、水の冷たさのせいかアルファ厶のせいか分からないけど、ツンと立った乳首がアルファ厶の硬い胸に触れて、身体の奥に感じたことのない甘い痺れが広がっていった。 しつこく口内を舐め回されて、息が苦しくなってきた俺の目尻からポロリと雫が流れ落ちる。 それが合図のように、やっとアルファ厶の唇が離れて、俺は空気を求めて大きく息を吸った。 「ふぁ…あ…、はぁっ」 「ふっ…、可愛いヤツ…」 コテリとアルファ厶の肩に頭を乗せて、荒く呼吸を繰り返す俺の背中をアルファムが何度も撫でる。 アルファ厶は、俺の熱くなった耳朶に唇を寄せると、「この続きは王城に戻ってからだ…」と甘く囁いた。
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